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電子版に力を入れていた常陽新聞休刊、地域紙は厳冬の時代か

 
常論新聞のウェブサイトを公開した1日、茨城県つくば市に本社を置く地域紙「常陽新聞」が休刊したと報じられた。たった1字の違いではあるものの、常論新聞は私が作ったお遊びの「SHIGEFIKA」会員のためだけのニュースサイトだが、常陽新聞はれっきとした新聞社だ。2014年にソフトバンク出身の楜澤悟代表取締役社長が創刊し、旧常陽新聞の題号を買い取って発行していた。

 

一般紙と言われる新聞には全国紙・ブロック紙・地方紙(県紙・地域紙)と分類され、常陽新聞は茨城県の県南地域を対象とした地域紙だ。地域新聞といえども配送地域には103万人もの人口がいて、発行部数1万部と日本新聞協会への復帰を目標としていた。元IT企業出身の社長らしくスマートフォンやタブレット端末で新聞を読める電子版にも力を入れていた。しかし、発行部数は3000部から伸び悩み、月間数百万円の営業損失を計上したという。

 

新聞業界全体でも年間200万部以上の発行部数が減少しているなかで、地域紙はとくに厳しい時代を迎える。なにしろ地域密着と言っても、市民の生活に直接影響がない情報が1面トップに踊ってしまうことすらある。従業員数も20名ほどでは深掘り取材は難しい。さらに市政記者クラブやそれに順ずる記者クラブに所属していたとしても、県政記者クラブには所属していない地域紙が多く、県紙や全国紙の情報にどうしても負けてしまう。新聞は基本的に1世帯に1紙が基本で、生活に関わる重大な情報を手に入れにくい地域紙はそもそも不利なのである。

 

地域紙のなかにはホームページがブログそのものなところもあり、電子版に力を入れていたのはさすがだ。ただ、常陽新聞のホームページを見る限り、「ピックアップ記事」はあるものの、メニューバーには会社情報などしか掲載されておらず、どちらかというとニュースサイトではなく会社情報サイトのようだ。上部にあるスマートフォン版をクリックして、無料会員登録をするとニュースサイトが出てきた。どうやら閲覧者の画面サイズに合わせたサイズが適用される「レスポンシブデザイン」になっているようで、シンプルなレイアウトだ。ただ、どの地方紙にも言えることだが、電子版は全国どこの人間でもその県の情報を見ることが出来るのに、トップページに会社情報よりもニュースを並べたほうが良いのではないだろうか。新聞社のサイトに閲覧しにくる人間は、新聞社そのものの情報よりもその地域のニュースが見たいと思って訪れるはずである。

 

ただ、そこでも地域紙が不利になるのはただでさえ情報量が少ないのに、ホームページに掲載してしまうと有料の新聞が誰も取ってくれなくなることだ。ましてやインターネットの情報は基本的に無料であることが前提であり、有料会員になってでも地域情報を見たいという人間はあまり多くはない。本来ならばデジタル編集部のような紙面とは別にウェブサイト専用の記者を置き、無料で面白い記事を掲載し続けることで定期的に常陽新聞のウェブサイトを訪れるリピーターを作り、新聞購読を誘導するやり方が良かったのではないか。限られた人数の記者ではそれも難しいのかもしれないが。そのようなサイトは別に「新聞」であるべきものでもなく、コラムであったり、朝日新聞のwithnewsのような身近な話題をちょっとした取材で記事にするサイトでも良いだろう。

 

特に新聞らしさにこだわらず、新聞記者の取材力を活かした「ウェブサイト」であれば、若者もアクセスしやすい。アクセスが増えれば広告もおくことができ、常陽新聞そのもののブランド価値もあがったかもしれない。古い新聞テイストでは地域紙は特に購読者数を伸ばすことは難しい。地域密着を目指すならば、もっと身近なウェブサイト作りをしてリピーターを集め、本紙の活性化につなげてはどうだろうか。私自身、地域紙に属していた元記者見習いとしては電子版やウェブサイトは地域新聞社存続のために必要不可欠な要素だと思っていたので、そこに力を入れていた常陽新聞が休刊になることは残念でならない。


  

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