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自説|人間の裏の顔は、裏の顔を持つ人自身が悪いのか

体裁を気にして優等生発言ばかりをしても何も役立たず、面白くもないので本音を書こう。人間は誰しも裏がある(と私は思っている)。特にこの現代社会では裏と表をしっかり使い分け、かつ裏の部分が絶対バレないように、上手に生き抜いていかなければならない。人から求められる「キャラクター」を即座に見抜き、最後まで演じきる「魅せる」ことが上手な人間、悪く言えば人を最後まで騙しきれた人間ほど、結果として周囲から評価される。

 

ただ、裏の顔を持つことは多くの人が良しとしない。人間は誰しも裏を持っているはずなのに、いざ目の前の人間の裏の顔が表出すると、自分のことは棚にあげ、誰もが優等生になってその人を叩き始める。その人から距離を取ろうとしたり、陰口を叩いたり、中には直接攻撃をしてくる者までいる。そんな狡猾な人間だらけだ。

 

しかし、なぜ我々人間は表と裏を持たなければならないのか。裏の部分が表出すると「善良な人間たち」から叩かれることになるが、その裏の部分を作らざるを得ない状況を作り出したのは紛れもなく社会だ。自ら進んで裏の部分を持ちたいという人間はいない。社会が身勝手に「理想な人間」を一個人に押し付けてくる。その理想な人間から外れてしまった人間は、誰にも理解されず、攻撃対象になることを恐れ、やむなく隠して生きていくしかないのだ。それは決して楽な道ではないことは言うまでもない。ある意味で裏の顔があるということは、なんとか社会の一員としてやっていくための「努力」という見方もできる。

 

それなのに週刊誌や、噂好きの低俗な人間たちによって裏の部分をわざわざ掘り起こされ、世間から「怖い」、「キモい」、「最低」だの言われる芸能人や有名人たちをみると、私は真っ先に気の毒だなと思ってしまう。社会が理想を持つのは自由だが、外れてしまった人間はどうすればよかったのか。隠すのもダメ。自殺するのもダメ。理想の人間になる方法を誰も教えない。望まずとも社会の理想から大きく外れてしまった人間はどのようにして生きればよかったのか。誰もが善良な人間であることが前提となっているが、70億人もの人間がいれば、当たり前のように善良でない人間も出てくる。そこについて誰も目を向けず、どうすればよかったか教えようともせず、ただ非難・中傷するだけだ。

 

私たち社会が個人に理想な人間を要求し、かつ安楽死を認めないならば、社会が望む人間から外れてしまった人たちの「相談窓口」のようなものが必要ではないか。社会の理想から外れてしまった人たちの相談窓口がなければ、誰にも相談できずに個人の闇の部分はずっと取り除かれない。行政機関などから完全独立し、専門家などが守秘義務を負いながら心の闇を抱えた人たちをサポートする。様々な法整備が必要かもしれないが、心の闇を抱えた人たちが気兼ねなく相談することができれば、対象者のストレス軽減、さらには犯罪の予防にも役立つに違いない。

 

ついこの間起きた座間事件を見ると、特に「心の闇相談窓口」が必要であると心底思う。まだ法律上は被疑者の段階のため、推定無罪の原則から逮捕された男を真犯人とみなして言及することはできれば避けようと思っていた。しかし、あえて問いたい。逮捕された被疑者自身が仮に「自分の異常さ」に気づいていたとしたら、彼は一体どうするべきだったのか。「異常さを自分自身でコントロールするしかないだろ」という回答が多く聞かれそうだが、それができればそもそも「異常」ではないのである。自分自身の異常さを自覚し、コントロールが出来ずにいる人間に対して、そこにサポートも何もなく、相談窓口などを設置せずに放置しつづける社会も、今回の事件が起きた間接的な要因になってはいないか。

 

一般的には社会的な制裁や、刑事罰などによって犯人に反省を促し、抑止力にする効果を狙っているのだろうが、そもそもの人間にある根本部分を改善するサポートしてやらなければ未然防止は難しい。人間の心の闇について「本当は闇を抱えたくなかったのに望まずとも闇を抱えてしまって気の毒だったね。なんとか改善していきましょう」という前向きな提案を社会が出来なければ、心の闇を抱えた人間はいつまでも殻に閉じこもるしかない。結果としてそれが誰かの犠牲を産んでしまう。そういった人間をいくら非難しても中傷しても、心の闇は取り除かれることはない。社会や人間ひとりひとりが心の闇に対して、ある程度の理解を深め、真摯に向き合わなければならない。

 

誰もが本当に幸せに暮らせる社会を実現したいならば、いい面ばかりにクローズアップせず、「心の闇」や「人間のウラ」といった負の部分をしっかり支えてあげることが何よりも必要だ。


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