配信:寄稿 2017年1月20日 22時57分配信 | カテゴリ:寄稿, 文化, 社会問題

「幸せ」の定義はあいまいで、人によって大きく異なる。カネがあれば幸せだという人もいるし、恋人と過ごすひと時がなによりも大切だという人もいるだろう。2016年度の『世界幸福度報告書』では、日本の幸福度は157か国中53位という結果になった。トップスリーは、デンマーク、スイス、アイスランドだ。
世界的に見て生活水準が高い国である日本だが、幸福度でいえば、上位というわけではない。なぜ日本人の幸福度は低いのだろうか。「日本人の考え方」から、日本の幸福度について考察した。(フリーライター:雨宮 紫苑)
日本人の長所が幸福度を下げている
日本人の長所というと、どんなところが挙がるだろうか。「礼儀正しい」「我慢強い」「空気が読める」……そんなところだろう。たしかにそういった点が日本では美徳とされるし、海外から称賛されることもある。だがその日本人の長所は、幸福度に貢献しているのだろうか。
日本は、世界でもまれに見るほど「和」を大切にする国だ。人に迷惑をかけることを「恥」と考え、自分を主張することは「わがまま」ととらえられることも多い。そういった「自分を抑制する美徳」が、幸福度を下げている原因のひとつかもしれない。
心の充実とは、自分にどれだけ素直になれるか、そして周りが受け入れるかが重要となるだろう。その点で言えば、本来長所である我慢強さや和を重んじる考えは、足かせになってしまう。
また、謙遜や遠慮が前提として回っている日本社会では、「わたしはこんなに稼いで、素敵なパートナーもいて、とっても幸せ」といった発言は、絶対に叩かれる。「わたしなんて全然ダメよ、みんながうらやましいわ」と言っておけば、基本的に波風は立たないのだ。
「言葉には言霊が宿る」などと言われているが、口に出していると、実際にそう思っているように錯覚してくることもあるだろう。「わたしなんて」といった謙遜や遠慮も、幸福の実感から遠ざかっている原因のひとつだろう。
「無難」が幸福度を遠ざける
「あなたは幸福ですか」と聞かれたら、「はい」と「いいえ」、どちらの答えを出すか、考えてみてほしい。2択であるにも関わらず、「まぁまぁ幸せ」「割と幸せ」といった、あいまいな答えを返してしまわないだろうか。
日本人はよく、「イエスかノーで答えるのが苦手」と言われる。事実、『End of Year Survey 2015』というレポートに、その傾向が表れている。「2016年は、2015年に比べてどう思うか」という項目のを見てみよう。

