配信:衣田 史景 2020年1月11日 0時58分配信 | カテゴリ:地域
あまりにも短絡的な案ではないか。
香川県議会が高校生以下の子供を対象に、ゲームなどの利用時間を制限する条例の制定を目指しているという。素案ではゲームの利用について1日あたり平日は60分、休日は90分に制限し、夜間の利用は高校生が10時以降、中学生以下の子供は夜9時以降制限することが盛り込まれている。ただし、罰則規定はなく、保護者や学校の責務と明記するという。
ネットやゲーム依存対策として考えられている案のようだが、ほかにもっとまともな案はないものか。そもそも制限や禁止するという措置を講じることは簡単だが、罰則もないとなると実効性に疑問符を抱かれるのも仕方ない。禁止するよりも先に有限である時間の使い方の重要性や、ゲームより魅力のあるものを紹介するなど、本質に関わる部分の発信は十分にされているのだろうか。短絡的に解決するのではなく、まず大人たちが努力するところを見せるべきだろう。
大人たちがそうした努力も見せず、ただ上から強制的に取り上げるようなことをして、子供たちは納得するはずがない。ただ、反発心を育むだけで、抑圧による将来の反動の影響も懸念される。自由がなくなったことで余計にゲームを意識してしまう可能性だってある。ネットやゲームを息抜きとして利用している子どもだっているだろう。その点についてしっかり考慮された案なのか甚だ疑問だ。
そもそも家庭内で解決すべきような内容に、ここまで行政が介入することに違和感を感じざるをえない。ネット上でも反発の声が高まっているのを見ると、この行政の介入が市民の理解を得ることはかなり難しいのではないか。だとすれば、香川県議会は早急に同案と撤廃し、対策を練り直すべきだろう。
本当にこの案は子どものためを思って十分に考えられたものなのだろうか。「子どものため」という言葉を盾に、「全国で初めてのゲーム依存症に特化した条例を作った」という実績を作りたい大人たちの野望だけで動いているのではないか、そう首を傾げたくなるほどだ。
こうした「すぐに取り上げれば解決」という短絡的思考こそ、子どもたちに悪影響を及ぼすのではないだろうか。

