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国会の質問時間は今のままで良い

(写真:衆議院の議場=DS80s氏 撮影)

 

自民党の若手が自民党の国対委員長に対し、国会での質問時間を議席数に応じて配分すべきだと提案している。これは与党の質問時間を増やし、野党の時間を削減するという意味だ。国会の質問時間は多くの議席を占める与党が配慮する形で、野党に多くの時間を割いてきた。現在は野党と与党が8:2の割合で配分されている。議席数に応じた時間配分になると衆議院の場合、野党と与党がだいたい3:7、参議院では4:6の割合になる。野党より与党の方が多く質問できるようになるのだ。

 

しかし、与党は法案や予算案を提出する前に、事前審査を行なって政府と事前に協議をするのが慣例だ。つまりその時点で与党の意見は反映されているのである。政権をしっかりチェックする機能が期待される国会質問で、“身内”である与党の時間を大幅に増やし、野党の時間を大幅に減らすというのは、政権に対する厳しい追及が緩くなるということだ。

 

この問題に対する国民の意見を見ていると、「野党のくだらない質問が多いから当然だ」という意見をちらほら目にする。野党にもくだらない質問をする議員がいるのは確かだが、だからと言って同じ意見を持った者同士が、政府案の問題点をしっかり追及できるはずがない。追認するようなやりとりばかりが行われる国会に、なんの意味があるというのか。その方がくだらないと個人的には感じてしまう。

 

それに国民が「野党の質問はくだらない」と感じているならば、それは政府与党に利するだけである。くだらない野党の質問に、しっかり反論する政府。逆に厳しい野党の追及に、はぐらかす政府。このような国会論戦を通じて政府の案に支持する、支持しないといった国民の意見が形成されていく。それならば意見が対立する同士がそれぞれの信念を持ち、一方が徹底的に追及する質問を行って、その一方が指摘された疑念を払拭するように丁寧に答えるという構図が、国民にとっては最も望ましいことなのだ。割合が野党と与党が7:3、もしくは6:4などに変更すること自体は協議して決めたらいいと思うが、与党が野党より時間が与えられることは、我々国民にとって望ましいこととは思えない。

 

もちろん与党議員も国民から選出された議員であり、まったく質問をさせないことは問題だ。しかし、上述の経緯を踏まえて考えると意見が異なる野党に質問時間を割いた方が、しっかりと法案や予算などにチェックが働く。それに、そもそも現在の時間配分は当時の民主党政権時代の野党・自民党が求めて実現したものだ。日本経済新聞の2012年2月7日付の記事には、当時の岸田文雄国対委員長は審議入りの条件として「基本的質疑での野党の質問時間を11年度予算の審議以上に増やす」ことを求めていることが記されている。(12年2月7日付 日本経済新聞「12年度予算案、9日の審議入り要請 民主が自公に」)与党になると一転して野党の時間を削減するというのは、なんとも都合の良い話である。

 

安倍晋三首相は衆院選後に「謙虚な政権運営に全力を尽くす」と語った。その姿勢をアピールするには、野党からの追及にしっかり、そして丁寧に反論・説明することである。自民党議員たちが提案した案は、「謙虚に政権運営を行う」という言葉に逆行する動きだ。与党が見す見す政権の謙虚アピールの場を邪魔してしまうのか。改めて「政府と与党は違うものなのだな」と深く実感することができた。


  

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