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テロ等準備罪成立、懸念は信用できない政権下での運用だ

今月15日、いわゆる「共謀罪」と言われるテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法が参院で可決、成立した。世界中で頻発するテロを未然に防ぐためには、共謀罪のような犯罪を計画した段階で検挙する必要がある。ただ、国民が抗うことのできない強大な権力や法である警察権や刑事罰というのは最も抑制的であるべきはずだ。それにも関わらず、今回成立した法案では277の犯罪が対象とされており、こんなにも広い範囲に適用されるべきものなのかについては大いに疑問であり、議論の余地があるはずだ。

 

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「治安維持」と「自由」は時として相反する時がある。100%の安全を確保しようと考えた場合は、すべての家に防犯カメラや盗聴器を設置することを義務付け、全国民のメール、電話などを常に国が監視し、国民の行動や考えを国が把握・管理することだ。しかし、それでは国民のプライバシーや自由が制限され、信用ならない政権が誕生した場合は更に悪用される懸念がある。一方、国からの縛りもなく完全に自由が横行すれば、自由の名の下にこの国の秩序が崩壊するのは明らかだ。「安全」や「治安」が一番大事、「自由が最もすばらしい」などと単純に考えるわけにはいかない。全てはバランスを考えなければならないのだ。

 

計画の段階で処罰するということは、犯罪行為を犯す前の段階で処罰するということ。つまり、捜査機関により強い権限を与えて、国民のプライバシー権も一部犯すほどの強い権限を与えなければ「計画段階」で検挙できるわけがない。「個人のプライバシー」と「治安維持」のバランスについて、どこまでを認めて、どのようなシステムを作るのか。国家の一つのあり方を決める重要な法案だった。しかし、政権与党は「中間報告」という委員会採決を省略する方法を取った。中間報告は緊急性がある時や、特に必要があるときに用いられる。ところが、オリンピックは2020年であり、数日後にはじまるわけでもなく、特に緊急性は感じられない。野党の議員が委員長を勤めた際になかなか採決に応じない場合において、使われることもあるが、法務委員長は現在与党・公明党の秋野氏だ。これまでにも野党から「強行採決」などと言われていたこともあったが、今回に関しては私も「強行採決」と言われても仕方ないだろう。

 

法律というのは現在の政権だけではなく、現在の政権以降にも改正されない限りは続いていくものだ。いま自民党支持層を中心にテロ等準備罪を支持している人が多いわけだが、仮に同法案を野党である民進党や共産党などが提出していた場合、いま支持している人たちは支持していたのだろうか。自分が支持する政党とは違う政党が同じ法案を提出して、それでも「必要だ」と主張するならば納得がいく。しかし、そうでなければただの政争の具でしかない。そして、いつの日か自分と主張の違う政党が政権の座につくかもしれない。その時に「この法案を信じることができるのか」、「悪用される懸念がある法案ではないのか」という点について冷静に見る必要がある。支持している人も、「現在の政権だから」という理由で法案を支持してしまうのは悪法になる可能性があり、非常に危険なのだ。右も左も関係ない。

 

テロ等準備罪に関する議論だけでなく、多くの議論でも「誰が言ったか」だけで判断せず、「何を言ってるのか」に目を向けたい。後者に目を向け理解できなければ、「頭で理解できずとも、心で納得している」に過ぎないのだ。意外とそのような場面があちこちで見られる。今後は憲法改正など、日本人有権者が今まで以上に政治と向き合わなければならない場面が出てくる。「国のカタチ」を作る政治に有権者がしっかり目を向けなければならない。


  

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