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今更ながら大阪都構想を考える

 

大阪市民の決断は「NO」だった。——所謂大阪都構想を巡る問題で、今年の5月17日に大阪市で行われた住民投票の結果、賛成49.6%、反対50.4%と僅か0.8%の差で反対派が上回った。これにより、大阪都構想は廃案となり、大阪市の政令指定都市は存続することとなった。

 

この問題については、大阪都構想住民投票前に記事として書いていきたかったのだが、当時サイトそのものを閉鎖させていた為、私の考えを書く機会がなかった。しかし、個人的に今年の最大の関心事でもあったことなので、今更ながら考えを記事にしていきたい。

 

特別区と政令指定都市の違い

 

まずは大阪都構想についての説明をしてから自らの考えを述べていきたい。大阪都構想を考える上で、最も覚えておかなければいけないのは「特別区」と「政令指定都市」の違いである。大阪都構想では大阪市を廃止し、5つの特別区に分けるとしている。特別区と政令指定都市とは何が違うのだろうか。

 

政令指定都市になると、大都市運営をよりスムーズに行う為に、都道府県行政の一部を市に移譲し、市が独自運営できるようになる。例えば児童相談所の設置、教職員人事、道路整備、交通網、公共施設の建設等を市が担えるようになる。道路建設など都道府県の許可がなければできなかったことが、政令指定都市では自らの権限で行うことができるのだ。政令指定都市になることで、よりスピーディーで住民のニーズにあった行政を行えるようになると言える。

 

一方特別区は、基礎自治体の「市町村」に準ずると言われている。しかし、本来「市」が行っている「消防」「水道」等の広域行政は行えず、それらは代わりに都が行っている(例・東京は東京消防庁。大阪は大阪市消防局、堺市消防局他)。また財源の一部が一度都に吸い上げられ、それを人口やサービスに応じて再配分されることになる。そして、特別区の区長は選挙で選ばれる公選制であり、サービスに不満があれば区長を選挙で変えることができる。よってそれぞれの区で、独自のサービスが受けられ、競争原理も働くことになる。現在の大阪市の区は、行政区であり、大阪市のエリアを区分する名称に過ぎない。よって、自治体でもなく、区長も選挙で選ばれたものではなく、市長が任命した公務員である。

 

政令指定都市・大阪市が抱える問題

 

先ほど説明した通り、政令指定都市の方が、特別区よりも権限が大きい。都道府県とほぼ同じ権限を持っていることから、都道府県と政令指定都市の間で二重行政が行われ、税金が無駄に使われるという問題が発生している。この二重行政の解消が大阪都構想の最も大きな目的と言って良い。

 

過去、大阪市と大阪府では同じような機能を持つ建物や事業をそれぞれ展開してきた。それらを解決するため、都構想では広域的な行政サービスは都が、身近な行政サービスは市が行う「役割分担」を図ることで、二重行政を解消する狙いがある。

 

知事と市長が話し合って解決すれば良いという意見もあるが、現在の大阪府と大阪市は同じ政党である松井大阪府知事、橋下大阪市長のため二重行政が発生していない。だが、政党が変われば再び二重行政に陥る可能性が否定出来ない。府と市の役割がはっきりと分担される都構想では、たとえ府(都)と区の首長が別の政党であっても二重行政が起こることはないのである。

 

大阪市は京都府と広島県とほぼ同じ人口に対し首長は1人

 

大阪市の人口は約270万人で、全国でも有数の大都市だ。この270万人という人口は、京都府(260万人)、広島県(280万人)とほぼ同等の数字だ。1つの都道府県と同じ人口を、大阪市長1人で抱えている。

 

これが京都府や広島県なら、府知事、県知事の下に市長がいて、その下に町長がいて、というように、260〜280万人の人口に対し、首長が何人も分けられ、より身近なサービスが享受されている。ところが、大阪市では270万人もの人口に対し1人の市長で対応しなければならなかった。

 

270万人の要望に1人で応えることになると、当然多くの意見を実現させるためには時間がかかってしまう。都構想では、この270万人の意見を5人の選挙によって選ばれた区長によって聞くことになるため、市民の声を聞く人間が1人から5人に増えることにより身近なサービスをスピーディーに受けることができる。

 

都構想の否決は残念

 

私は都構想に賛成の立場だったので、住民投票の結果は残念に思う。大阪都構想となれば、広域行政が市から都に移管されるので、大阪市営地下鉄から大阪都営地下鉄となる。私は交通網の充実が経済にも大きく寄与すると考えているので、大阪全体の交通網を充実化させることはとても重要だと思っている。また大阪市営地下鉄の利用者の約6割が市外住民の利用であるのに対し、大阪市税が多額に投入されてきた。府民全体が利用するものに、大阪市民が多くの負担を強いられてきたのだ。広域行政は府が行うべきである。

 

また反対派の”格差問題が生じる”という主張にも疑問だ。特別区域内にて税収の面で格差が生じるというのだが、これは財政調整制度によって是正される。市民税を一度府が徴収し、それを格差が出ないように均等に再配分するのだ。むしろこの財政調整制度によって不利益を被るのは税収が多い区である。税収が少ない区は恩恵を受けると言って良い。だが、基礎自治体は民間企業ではない。強きものが弱きを助け多くの市民がサービスを受けることが出来る良い制度だ。

 

自治体の権限が政令指定都市から特別区になると小さくなるので、反対するという方も多い。しかしそれは本来府がやるべき広域行政をも担っていたから権限が大きいのであって、それこそが二重行政の根源となってきた。その広域行政を府が専任して行うということなので、どちらかというと権限が適正化されると私は思っている。

 

少子高齢化を迎え、人口減少が懸念されており、次第に税収は減り続け、公共サービスも縮小せざるを得なくなる。そんな中で市町村などの基礎自治体は、どの公共サービスをするか否かを選択していかなければならない。そんな時に270万人もの巨大人口に対し、1つのサービスを広範囲に適用させるよりも、5つに分け選挙で選ばれた区長が行政運営を行うことで、それぞれ地域に即したサービスを受けやすくなる。さらに引っ越しの際にサービスを住民が自ら選択することもできる。

 

朝日新聞と朝日放送(ABC)の出口調査によると今回の住民投票では、20代、30代、40代、50代、60代の過半数が賛成に回ったが、70代の61%が反対に回り否決されるという結果になった。高齢者の民意が反映されるという結果になってしまったが、また維新の松井幹事長が次の大阪府知事選にむけ大阪都構想を再び争点に掲げると表明した。まだまだ大阪都構想から目を離せない。

 


  

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