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再び注目を集める“格差社会”、資本主義は終わるのか

 
フランスの経済学者トマ・ピケティが「21世紀の資本」という本を出版し、大ベストセラーになったのは記憶に新しい。世界各国で100万部以上が売れ、日本でもブームメントになった。700ページを超える大著の一部を端的に表すと「富を産み出す力は労働よりも、株や不動産などの資本が常に上回り、これでは格差が拡大してしまう一方である」ということだ。

 

2008年に起こった世界金融危機や、中国の景気減退による世界同時不況が各国の経済を襲い、労働者たちの一部では失業や低賃金労働などの経済的窮地に追い込まれた。当然、格差社会に不満を持つ者、資本主義そのものに疑問を抱く人間が現れ始め、世界的にこの難解な経済書がベストセラーになったのは、そういった「格差社会」に不満を持つ人間が増えてきているという社会的背景があるからだろう。

 

資本主義で起こりうる問題点を指摘し、世界の経済人に疑問を投げかけたピケティ。資本主義はこれからどうなっていくのだろうか。

 

過去の著名な経済理論

 

これまでにも優秀な経済学者たちが様々な学説を発表してきた。ここで少しだけ有名な経済学の理論を振り返ってみたい。

 

経済学の父と言われるイギリスの経済学者アダム・スミスは、自著「国富論」のなかで政府が市場に介入せず、自由な市場が最大の利益をもたらすと主張し、資本主義社会の発展をもたらした。商品の価格は需要と供給の関係によって自動的に調節される“神の見えざる手”という理論は、現代の中学校の公民の教科書にも出てくるほど、近代経済学の基本中の基本となっている。

 

その後、ドイツの経済学者カール・マルクスが資本主義の問題点を指摘した「資本論」を発表した。資本主義のなかで、工場の機械化が進み、労働者の失業を産むなどの結果、消費量が大きく低下し、定期的に恐慌を生むメカニズムになっていった。その度に社会的に弱い立場の人間が翻弄されいく様子をマルクスは問題視したのだ。また資本家に富が集中し、労働者が搾取されていくことを指摘し、レーニン革命などの社会主義思想に大きな影響を与えた。

 

しかし、その後マルクスの影響を受け設立したソ連などの社会主義諸国は崩壊していく。資本主義では周期的に恐慌が起こり、社会主義ではうまくいかない。だが、この資本主義に起こる恐慌を「財政政策」によって克服できると主張したのがイギリスのジョン・メイナード・ケインズである。ケインズは著書「雇用、利子および貨幣の一般理論」のなかで、これまで一般的だった均衡財政(国家の経済規模に合った支出しかしない財政政策)という考え方を打ち破り、国が借金をしてでも積極的に財政支出を増やし、道路建設などの公共事業を行えば民間企業に新たな仕事が生まれ、雇用も回復し、最終的に税収が増えれば赤字国債も返済可能と示した。また所得が高い人間には高い税負担を課し、それによって得た税金を低所得者層の社会保障費として使ったほうが世に金が流れるという累進課税制度を考案した。彼の理論は修正資本主義、ケインズ経済学と言われ、現代でも多くの国でケインズ理論による経済政策が行われている。

 

しかし、ケインズ経済学に異議を唱えたのがアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンだ。ケインズ理論では景気が良くなれば借金が返済されると見ていたが、実際は公共事業をやめることで有権者からの反発を恐れた政治家が財政支出をやめなかったため、財政赤字が拡大し、さらに道路が整いはじめると公共事業による経済効果が薄れていったのである。フリードマンはケインズの理論とは反対に政府の市場介入を失くし、小さな政府を徹底的に目指す思想を持っていた。この考えはアダム・スミスの自由主義の現代版ということから「新自由主義」と言われる。具体的には規制緩和や、民営化、減税などだ。日本では小泉・竹中の構造改革が新自由主義政策と言われており、派遣法改正などで格差が拡大しているという指摘もある。

 

そして現在の安倍政権の経済政策であるアベノミクスを見ると、金融緩和と財政出動はケインズ流の経済政策であるが、第三の矢が規制緩和だとすれば新自由主義的な政策であり、ケインズと新自由主義の融合と言えるかもしれない。

 

【次のページ】 大きな政府と小さな政府の繰り返し

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