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2019年01月23日(木)
長谷川豊氏「自堕落な生活の人工透析患者は全額実費。出来なければ殺せ」と題したブログ記事が物議 糖尿病患者としての意見
▲長谷川豊氏のブログ「本気論
 本音論」19日配信記事画面

フリーアナウンサーの長谷川豊氏(41)が19日、自身のブログで「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」という記事を配信し、その過激なタイトルが物議を醸している。記事は、人工透析を担当している医師から聞いたという事実を基に、現在の健康保険制度と年金を解体すべきだと主張している。

 

自業自得と言われることが多い2型糖尿病を患っている私からすると、看過できない主張だ。まず物議を醸している「殺せ」という過激な主張については、以前話題になった「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログのように、本気ではなく過剰な表現方法のひとつだと理解する。この記事の主旨は「自堕落で人工透析を受けている人間に、国民の税金が多額に使われていることが納得できない」ということだ。長谷川氏はこの部分についてどうなのかを世間に問うてると思うので、この部分について私なりの考えを書いていきたい。

 

私の場合、長谷川氏の言う「自業自得」によって糖尿病になった。ストレス、暴飲暴食、生活習慣の乱れ、引きこもりによる運動不足、そして遺伝的要素。2型糖尿病の主要原因をほとんど網羅し、血糖値700を超えて約半年前に病院のお世話になった。遺伝要素以外は全て自分自身の弱さの問題だ。当時、いちばん幸せだと感じる瞬間はおいしいご飯を食べる時しかなく、運動もせず、外にも出ず、ひたすら家で誰にも見られないように生活をしていた。

 

長谷川氏の理論ならば、私は糖尿病に掛かる治療費を全額実費で支払わなければならないことになる。批判されることは仕方ないとは思っているが、「自己責任」の一言でこの問題を世間は片付けることが出来るのだろうか。世の中は強い人間ばかりではない。例えば辛い仕事をしながらしっかり業務を果たしている人がいたとしても、プライベートな時間は少し弱さがでてしまうことは人間必ずある。それは社会人を経験した人間ならばよく分かることなのではないだろうか。その弱さはその人にとっての唯一の安らぎだったかもしれない。

 

自業自得とよばれる事故による怪我、病気はほかにもたくさんある。これらについても「自己責任」として片付けてしまうのだろうか。自業自得で人工透析する患者が全額実費ならば、その他の自業自得の事故の怪我や病気も全額実費でなければ当然納得いかない。そんな究極の「自己責任社会」は人々の生活をより辛くしてしまうのではないか。

 

そして2型糖尿病の人間は、ストレスや遺伝の影響や運動不足など様々な要因がある。同じ量を食べていても、その人の環境や遺伝の影響によっては、糖尿病になる人もいるし、糖尿病にならない人もいる。その人がいた環境を第三者は完璧に把握し、その人を責め、見捨てることが本当にできるのだろうか。さらに同じ糖尿病になった方と同じ病棟でお話を伺った時や入院中の料理教室で、ほんの少量のごはんで我慢しなければならない方もいる。だからお前は甘いんだと言われてしまいそうだが、私は長谷川氏の主張は「酷」だと感じてしまう。

 

人工透析患者は「身体障がい者1級」となり様々なサービスが受けられるという記述も見られた。「映画館の利用が常に半額(者1人同伴も半額)・公共交通機関の利用料の半額(者1人同伴も半額)・タクシーの初乗運賃の無料チケットが貰える(1枚1枚にに利用期間の設定有り)・高速道路の利用料金の半額・ディズニーもほとんど並ぶ必要がない・医療費の無料」になるという。しかし、週に3回も人工透析を受けなければ死んでしまうという大きな負担だけでも、“自業自得”によるペナルティーは受けている。もしも過剰なサービスだと言うならば、こういったサービスのどれかを見直すことや、一部の廃止を検討すべきであり、1人の人間を見捨ててしまうようなシステムを多くの人間は歓迎しないのではないか。

 

私は弱い人間であり、弱い側の立場にどうしても立ってしまう。「強くなれ」というのは簡単だが、一人一人に向き合わなければ強くなる方法はわからない。それぞれ「強くする」方法は十人十色だからである。今回の自堕落の話も、一人一人の事情を詳細に、かつ完璧に聞いてみなければ本当に自業自得と言えるのかも定かではない。しかし、そんなことをしていては人員も時間もキリもない。それならば弱っている人間がいて命の危険があるなら、国民がお互い協力しあって救う。私はその社会のほうが“健全な社会”に思えてならない。


  

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